2011年09月30日 (金) | 編集 |
河川敷でホームレスの人に飼われていたツルちゃん。

大きな腫瘍をぶら下げて、12才で飼育放棄されました。

体を横たえるのにも、ひと苦労するような大きな腫瘍です。

センターに入って間もなく、その腫瘍が破裂してしまい、
ツルちゃんは緊急で手術を受けることになりました。
「治りますように」との願いを込めて、
千羽鶴の代わりに「ツルちゃん」と名付けました。
たくさんのマダニに血を吸われ、重度の貧血だったツルちゃん。
すっかり大きくなった腫瘍の中には、
太い血管が何本も入りこんでいて、たくさん出血したそうです。
心拍数が下がり、かなり危なかったけど、
なんとか手術は頑張りました。
「あ~、よかった、、、」
そう思ったのもつかの間、術後に危篤状態に。
私が病院に着いたとき、もうツルちゃんの鼓動はかすかでしたが、
まだ断続的に呼吸をしていました。
「ツルちゃん、ツルちゃん」と呼びながら、お顔をなで続けました。
病院の人達も、みんなで体をさすったり、見守ってくれていました。
その時なぜだかふと、この子の元の名前が
「はなちゃん」だったことを思い出しました。
「はなちゃん!」
そう呼びかけたとたん、暖かかった体がスーッと冷たくなって、
心臓が止まりました。
もう1度、飼い主さんに名前を呼んでもらいたかったのかな。
あと1度だけでいいから、名前を呼んでもらいたくて、
待っていたのかも。
そう思うと、不憫で仕方ありませんでした。
しっかりした瞳で、じっと見つめてくる子だったツルちゃん。
賢い子だったに違いありません。
病院での診察や検査の時も、とても良い子でした。

ツルちゃん。
助けてあげられなくてごめんね。
先生に重たい腫瘍を取ってもらって良かったね。


ツルちゃん、
身軽になった体で、お空をのびのび走ってね。
一緒に捨てられた、あなたの息子のミミ太くんが
幸せになれるよう、願っていて下さい。
( 追 記 )
ツルちゃんの死を無駄にしないために
乳腺腫瘍について記載します。
乳腺腫瘍は早めに避妊手術をすることで
リスクを減らせる病気です。
初回の発情前に避妊すれば、いちばんできやすい
ホルモン由来の乳腺腫瘍は、防ぐことができます。
(ホルモン由来ではない腫瘍もあるため
厳密にはゼロになりません)
初回から2回目の間に避妊すれば、10頭に1頭、
2回目以降の手術になると未避妊犬と変わらず、
4頭に1頭の高率で乳腺腫瘍ができてしまいます。
そのうち50%は良性、50%は悪性。
(ちなみに猫の場合は、ほぼ100%悪性です)
しこりを見つけたら、
注射器の針でしこりの中味を吸い出し、
良性か悪性かの簡易検査ができる腫瘍もあります。
しかし乳腺腫瘍は、この『針生検』では判断がつかず、
あくまでも切除して組織検査しないといけない腫瘍です。
良性だろうが悪性だろうが、
どっちみち、麻酔をかけて切らねばならないのです。
平均10~11才でできるこの腫瘍、
悪性だった場合、3センチを超えてしまっていては
再発率が高くなります。
ツルちゃんのように、破裂(自壊)すると、
転移する可能性が高くなります。
最も転移性の高い悪性のものは、米粒くらいの大きさでも
あっという間に転移していきます。
悪性の乳腺腫瘍(=乳がん)は、
肺や脳に転移することが多いようです。
性ホルモンに由来する病気は乳腺腫瘍の他にも、
たとえば『子宮蓄膿症』があります。
もちろん男の子にも、去勢で防げる
ホルモン由来の危険な病気があります。
未避妊未去勢で発症する確率が高く、
命にかかわる怖い病気があること、
わが子が若くてハツラツとしているうちは、
あまり危機感がわかないかも知れません。
避妊・去勢手術に抵抗のある方も意外と多いのが現状。
でももしその子がかわいいのなら、かわいいからこそ、
ずーっとあなたのそばにいて欲しいはず。
『1日でも長く元気で共に暮らしたい』
それはきっと犬も同じです。
早いうちに避妊去勢するメリットを、
改めて考えてみて下さい。
事情があって、初発情前に避妊できなかった場合、
お腹回りのチェックを日課にして下さい。
しこりを見つけたら、すぐに病院に行って下さい。
米粒ほどでも、あっという間に転移してしまう
怖ろしいタイプの腫瘍もあることを
覚えておいて頂けたら、と思います。
ツルちゃんのことをきっかけに、
愛犬の避妊去勢を考えて下さる方がいれば、
ツルちゃんは、その子の命を救うことになり、
ツルちゃんがここに存在した意味を
見い出せそうな気がします。

大きな腫瘍をぶら下げて、12才で飼育放棄されました。

体を横たえるのにも、ひと苦労するような大きな腫瘍です。

センターに入って間もなく、その腫瘍が破裂してしまい、
ツルちゃんは緊急で手術を受けることになりました。
「治りますように」との願いを込めて、
千羽鶴の代わりに「ツルちゃん」と名付けました。
たくさんのマダニに血を吸われ、重度の貧血だったツルちゃん。
すっかり大きくなった腫瘍の中には、
太い血管が何本も入りこんでいて、たくさん出血したそうです。
心拍数が下がり、かなり危なかったけど、
なんとか手術は頑張りました。
「あ~、よかった、、、」
そう思ったのもつかの間、術後に危篤状態に。
私が病院に着いたとき、もうツルちゃんの鼓動はかすかでしたが、
まだ断続的に呼吸をしていました。
「ツルちゃん、ツルちゃん」と呼びながら、お顔をなで続けました。
病院の人達も、みんなで体をさすったり、見守ってくれていました。
その時なぜだかふと、この子の元の名前が
「はなちゃん」だったことを思い出しました。
「はなちゃん!」
そう呼びかけたとたん、暖かかった体がスーッと冷たくなって、
心臓が止まりました。
もう1度、飼い主さんに名前を呼んでもらいたかったのかな。
あと1度だけでいいから、名前を呼んでもらいたくて、
待っていたのかも。
そう思うと、不憫で仕方ありませんでした。
しっかりした瞳で、じっと見つめてくる子だったツルちゃん。
賢い子だったに違いありません。
病院での診察や検査の時も、とても良い子でした。

ツルちゃん。
助けてあげられなくてごめんね。
先生に重たい腫瘍を取ってもらって良かったね。


ツルちゃん、
身軽になった体で、お空をのびのび走ってね。
一緒に捨てられた、あなたの息子のミミ太くんが
幸せになれるよう、願っていて下さい。
( 追 記 )
ツルちゃんの死を無駄にしないために
乳腺腫瘍について記載します。
乳腺腫瘍は早めに避妊手術をすることで
リスクを減らせる病気です。
初回の発情前に避妊すれば、いちばんできやすい
ホルモン由来の乳腺腫瘍は、防ぐことができます。
(ホルモン由来ではない腫瘍もあるため
厳密にはゼロになりません)
初回から2回目の間に避妊すれば、10頭に1頭、
2回目以降の手術になると未避妊犬と変わらず、
4頭に1頭の高率で乳腺腫瘍ができてしまいます。
そのうち50%は良性、50%は悪性。
(ちなみに猫の場合は、ほぼ100%悪性です)
しこりを見つけたら、
注射器の針でしこりの中味を吸い出し、
良性か悪性かの簡易検査ができる腫瘍もあります。
しかし乳腺腫瘍は、この『針生検』では判断がつかず、
あくまでも切除して組織検査しないといけない腫瘍です。
良性だろうが悪性だろうが、
どっちみち、麻酔をかけて切らねばならないのです。
平均10~11才でできるこの腫瘍、
悪性だった場合、3センチを超えてしまっていては
再発率が高くなります。
ツルちゃんのように、破裂(自壊)すると、
転移する可能性が高くなります。
最も転移性の高い悪性のものは、米粒くらいの大きさでも
あっという間に転移していきます。
悪性の乳腺腫瘍(=乳がん)は、
肺や脳に転移することが多いようです。
性ホルモンに由来する病気は乳腺腫瘍の他にも、
たとえば『子宮蓄膿症』があります。
もちろん男の子にも、去勢で防げる
ホルモン由来の危険な病気があります。
未避妊未去勢で発症する確率が高く、
命にかかわる怖い病気があること、
わが子が若くてハツラツとしているうちは、
あまり危機感がわかないかも知れません。
避妊・去勢手術に抵抗のある方も意外と多いのが現状。
でももしその子がかわいいのなら、かわいいからこそ、
ずーっとあなたのそばにいて欲しいはず。
『1日でも長く元気で共に暮らしたい』
それはきっと犬も同じです。
早いうちに避妊去勢するメリットを、
改めて考えてみて下さい。
事情があって、初発情前に避妊できなかった場合、
お腹回りのチェックを日課にして下さい。
しこりを見つけたら、すぐに病院に行って下さい。
米粒ほどでも、あっという間に転移してしまう
怖ろしいタイプの腫瘍もあることを
覚えておいて頂けたら、と思います。
ツルちゃんのことをきっかけに、
愛犬の避妊去勢を考えて下さる方がいれば、
ツルちゃんは、その子の命を救うことになり、
ツルちゃんがここに存在した意味を
見い出せそうな気がします。
この記事へのコメント
悲しいです。ホームレス自身も自分の運命はわかりません。
そういう方に飼われていると、最後はどうしても引き離されてしまうことも多いでしょう。でもきっと花ちゃんにとっては、いい飼い主さんだったのでしょうね・・・。ゆっくり天国で休んでください。
そういう方に飼われていると、最後はどうしても引き離されてしまうことも多いでしょう。でもきっと花ちゃんにとっては、いい飼い主さんだったのでしょうね・・・。ゆっくり天国で休んでください。
2011/10/15(土) 05:24:12 | URL | miko #hSCFVYi.[ 編集]
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